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ATTACK METHODS

攻撃手法の分類と動向

当サイトが収集した471事案を、公表文面に基づいて攻撃手法ごとに自動分類しました。 どんな手口で情報が漏れているのか、件数と代表事例で把握できます。国内の公式統計と海外の最新脅威レポートの動向も併せて掲載します。

手法別の件数(471事案)

公表資料の文言に基づく自動分類です。複合的事案はより具体的な手法を優先し、原因が公表されていない事案は「原因調査中」に集計されます。

手法件数割合概要
不正アクセス(手法公表なし)166
35%
侵入されたが手法は特定・公表されていない事案
原因調査中・記載なし94
20%
原因が公表されていない事案
サプライチェーン攻撃(委託先・共有サービス経由)49
10%
利用企業ではなく提供元システムが侵される連鎖
ランサムウェア46
10%
データを暗号化して身代金を要求する攻撃
脆弱性の悪用39
8%
ソフトウェア・機器の穴を突いて侵入する攻撃
認証情報の不正利用28
6%
流出・推測したID・パスワードでの不正ログイン
誤送信・誤公開(人的ミス)20
4%
送り先間違い・公開設定ミスによる漏えい
標的型攻撃メール・フィッシング12
3%
偽メール・偽サイトで認証情報等を奪う攻撃
設定ミス・アクセス制御の不備11
2%
誰でも見られる状態になっていた設定上の穴
紛失・盗難5
1%
端末・記録媒体の物理的な紛失
システム不具合1
0%
プログラムの欠陥による情報の混入・露出

直近の2026年10月だけでも219件の公表があり、 サプライチェーン経由と手法公表なしの不正アクセスが急増しています。

手法ごとの解説

各手法の仕組み・典型的な流れ・狙われる情報・対策の要点と、当サイト収集の代表事例をまとめています。

不正アクセス(手法公表なし)

166事案

第三者による不正アクセス・侵入は確認されたものの、具体的な手口(脆弱性・認証情報・メール等)が公表されていない事案です。調査の進展で判明すれば他の分類に移ります。

観測されている具体的な技法

アカウント新規作成による潜伏ログの改ざん・削除リモートアクセス経路の確保

典型的な流れ

  1. 不正アクセスの形跡を検知
  2. 影響範囲の調査を実施
  3. 判明した範囲で公表(原因は調査中とされることが多い)

狙われる情報: 事案ごとに異なる

対策の要点: ログの保全と監視、専門機関への相談、早めの公表準備(対策ガイド)

影響規模の大きい事例

原因調査中・記載なし

94事案

初報時点で原因が「調査中」とされている事案です。続報で原因が判明すれば他の分類に再集計されます。日本では公表義務に基づく速報が多くなっており、この区分の割合が高くなります。

観測されている具体的な技法

調査中(続報で判明すれば再分類)

典型的な流れ

  1. 漏えいの可能性を検知
  2. 原因・範囲の調査が継続中
  3. 確定次第、続報を公表

狙われる情報: —

対策の要点: 速やかな初動報告(漏えい等報告)、専門家への相談(対策ガイド)

影響規模の大きい事例

予約・EC・メール配信などの共有サービスや委託先システムが攻撃され、そこにデータを預けている多数の企業・自治体に被害が波及します。2026年秋の日本ではこの型の連鎖が顕著で、単一事案で数百万〜千万件規模に達しています。

観測されている具体的な技法

提供元システムへの侵入アップデート経路・配信パイプの汚染APIキー・アクセストークンの悪用集約データベースからの一括窃取管理コンソール経由の横展開

典型的な流れ

  1. サービス提供元のシステムが不正アクセスを受ける
  2. 提供元に集約された複数企業分のデータが窃取される
  3. 利用企業が続々と個別に公表・通知を行う

狙われる情報: 提供元に集約された複数企業の顧客・取引情報

対策の要点: 預けるデータの最小化、提供元の確認、自社での暗号化・分割保管(対策ガイド)

影響規模の大きい事例

システムに侵入した攻撃者がデータを暗号化し、復元と情報の非公表と引き換えに身代金を要求します。近年は暗号化だけでなく窃取した情報の公開を脅す「二重恐喝」が主流で、日本では2026年上半期の被害確認が123件と過去最多を更新しました。

観測されている具体的な技法

二重恐喝(窃取+暗号化)バックアップの削除・暗号化LOLBins(正規ツールの悪用)EDR・セキュリティソフトの無効化ランサム交渉ポータル

典型的な流れ

  1. 脆弱性・認証情報・メール等を足がかりに侵入
  2. 認証情報を窃取して横展開し、バックアップを無効化
  3. データを窃取したうえで暗号化し、身代金を要求(二重恐喝)

狙われる情報: 顧客情報・財務情報全般。窃取後に公開・転売される

対策の要点: 3-2-1バックアップ、多要素認証、緊急時の連絡体制と復旧訓練(対策ガイド)

影響規模の大きい事例

公開されている Web アプリや VPN 等のエッジ機器の未修正脆弱性を突いて侵入します。世界では脆弱性悪用が侵入経路の首位(31%)となり、修正の遅れが直接被害に繋がっています。

観測されている具体的な技法

ウェブシェルの設置ゼロデイ脆弱性の悪用エッジ機器(VPN・アプライアンス)の脆弱性SQLインジェクション権限昇格と横展開AIによる自動スキャン+手動攻略

典型的な流れ

  1. インターネット公開サービスをスキャンして脆弱性を探索
  2. 既知・ゼロデイ脆弱性を悪用して侵入しウェブシェル等を設置
  3. 権限昇格・横展開してデータベースへ到達し情報を窃取

狙われる情報: 公開アプリの背後にある顧客データベース

対策の要点: 速やかなパッチ適用、インターネット公開資産の棚卸し、WAF(対策ガイド)

影響規模の大きい事例

別の場所で流出したパスワードの一覧(リスト型攻撃)や辞書攻撃でアカウントに不正ログインします。パスワード使い回しが被害を広げる代表的な経路です。

観測されている具体的な技法

リスト型攻撃(流出パスワード流用)辞書攻撃・パスワードスプレーMFA疲れ攻撃情報窃取型マルウェア(インフォスティーラー)認証トークンの窃取・流用

典型的な流れ

  1. 過去の漏洩事件で入手したID・パスワードの一覧を流用
  2. 他サービスと同じ組み合わせのアカウントにログインを試行
  3. 成否を確認しつつ有効なアカウントを乗っ取る

狙われる情報: 会員アカウント、ポイント・決済情報

対策の要点: サービスごとに異なるパスワード、多要素認証、異常ログイン検知(対策ガイド)

影響規模の大きい事例

誤送信・誤公開(人的ミス)

20事案

攻撃ではなく人的ミスによる漏えいです。BCC を使わず一斉送信した、Web 上に誤って公開した、などの事案が毎月発生しています。件数は小さいものの企業の信頼を失う事案が多く、研修と送信前確認が効きます。

観測されている具体的な技法

BCC不使用の一斉送信添付ファイルの宛先間違い非公開データの誤公開

典型的な流れ

  1. メールの一斉送信で宛先を誤る(BCC 不使用など)
  2. 本来非公開のデータを公開状態にしてしまう
  3. 気づくまでの間に第三者が閲覧・取得

狙われる情報: 顧客の氏名・連絡先

対策の要点: 送信前の複数人確認、BCC ルール、公開範囲の点検(対策ガイド)

影響規模の大きい事例

実在の取引先や上長を装うメールで偽サイトへ誘導し、ID・パスワード等を入力させます。財務担当者を狙うビジネスメール詐欺(BEC)では送金先の改ざん被害が発生します。

観測されている具体的な技法

偽ログイン画面(認証情報ハーベスト)中間者攻撃型フィッシング(AiTM)ビジネスメール詐欺(BEC)QRコードフィッシング(クイッシング)セッションCookieの窃取

典型的な流れ

  1. 業務文書を装ったメールやSMSを送り付け開かせる
  2. 偽のログイン画面や申請フォームで認証情報を入力させる
  3. 奪った認証情報で本物のシステムに侵入

狙われる情報: ログインID・パスワード、送金・契約の承認権限

対策の要点: 不審なリンク先の確認習慣、送金ルールの多承認化、多要素認証(対策ガイド)

影響規模の大きい事例

誤送信・設定ミス・紛失・内部不正・システム不具合など人的ミス系の手法も上の表に集計しています。 仕組みと対策は対策ガイドを参照してください。

直近6ヶ月の推移

月計不正アクセスサプライチェーン攻撃ランサムウェア脆弱性の悪用認証情報の不正利用原因調査中・記載なし
2026年5月23606244
2026年6月26816334
2026年7月23834113
2026年8月3611154310
2026年9月6726518415
2026年10月2198434912946

国内の動向(2026年)

2026年秋、日本は観測史上最多の情報漏洩・不正アクセスラッシュにあります。警察庁の集計では2026年上半期のランサムウェア被害は123件と、2020年の集計開始以来 半年ベースで最多を更新しました。 1日あたりの不審なアクセス検知は約13,700件と前年同期比 約5割増、フィッシングの報告も約73万件に上ります。

政府はサイバー空間を「非常事態」と認定し、各省庁・自治体・事業者へ基本対策(更新・強固なパスワード・サプライチェーン確認)の徹底を指示。 能動的サイバー防御法に基づく攻撃者ツールへの「アクセス無効化」権限が2026年10月1日に発効しました。 事業者向けには、被害の疑いの段階から相談できる IPA「不正アクセス特別相談窓口」(2026年10月開設)や 個人情報保護委員会の注意喚起も出ています。

手口面では、国内でも共有サービス・委託先経由のサプライチェーン型連鎖が際立ちます。 予約システム・EC構築サービス・クラウドの侵害が、数百の利用企業・自治体へ一度に波及する事案が相次ぎました。

海外の最新動向(2026年)

侵入経路は「脆弱性悪用」が首位。Verizon の 2026 Data Breach Investigations Report では、侵入経路として脆弱性悪用が31%で盗まれた認証情報を抜いて1位になりました。なかばVPN・エッジ機器の悪用が約3%から22%へ急増しており、境界機器の修正遅れが世界共通の弱点です。 フィッシングは16%で横ばい、詐欺的な前提を作る「プリテキスティング」が6%に伸びてランサム・恐喝への経路になっています。 また全被害の48%にランサムウェアが関与しています。

AI を使う攻撃者が急増。CrowdStrike の 2026 Global Threat Report(「The Evasive Adversary Wields AI」)では、 AI を活用する攻撃者が前年比89%増。侵入から横展開までの平均所要時間 (ブレイクアウトタイム)は29分と過去最速を記録し、 公開前のゼロデイ悪用も42%増となりました。AI 生成コード特有の欠陥を共有するランサムウェア変種も確認されており、 防御側は「いかに速く封じ込めるか」が問われています。

AIエージェントによる窃取も現実に。韓国では複数の銀行への攻撃に AI ツールの関与が疑われ、セキュリティ企業の調査では AI エージェントによる約60万件のクレジットカード情報窃取も報告されています。 攻撃の低コスト化により、これまで狙われにくかった中堅・小規模事業者が標的になる構図が世界中で強まっています。 日本を含む 2026年の攻撃で実際に使われたと報じられている中国系 AI については、次節で詳しく扱います。

攻撃に悪用されるAI ― 中国系モデル「ARTEX」「DeepSeek」

ARTEX(中国系 AI エージェント)。2026年10月、国内企業の調査(GMO子会社)により、保険・金融・物流など国内約80社に及ぶ一連の不正アクセスで、攻撃に使われたサーバー6台すべてで 中国系の AI ツール「ARTEX」が利用されていたことが確認されました。 ARTEX は元々オープンソースで公開されていた AI による侵入テストツールで、 金融・小売・保険・EC など業種を絞った標的型の運用が報じられており、 韓国の大手金融機関や米国企業への攻撃にも悪用が確認・疑われています。 報道後に開発者は公開を取りやめましたが、コピーが拡散した状態で脅威は続くと指摘されています。 報道各社は、2026年秋に日本で相次いだ情報漏洩事案の相当数がこの系統の攻撃である可能性を指摘しており、 当サイトが収集した10月の事案急増(前月比 約2.5倍)とも時期が重なります。

DeepSeek(中国発のオープンソース大規模モデル)。Palo Alto Networks の Unit 42 は 2026年7月、中国語話者の攻撃者が 「Hermes Agent」フレームワーク経由で DeepSeek を利用し、7種類の脆弱性を対象とした AI による自動スキャンと手動攻略を組み合わせた自律的な攻撃を 実施したと報告しました。ブルームバーグ(2026年8月)も、中国系ハッカーが DeepSeek などの オープンソースモデルを攻撃業務に組み込んで以降、活動を強化していると伝えています。 2025年時点で CSIS は DeepSeek のガードレールの弱さ(脱獄への耐性不足・マルウェア生成の可否)を指摘しており、 「安価で制約の緩い中国製モデル」が攻撃の技術的ハードルを引き下げる構図が1年以上続いています。

使い所の共通点。いずれのケースでも AI が担うのは①公開サービスの脆弱性スキャン、②攻撃コードの生成・調整、 ③標的の選定、といった準備段階で、最終的な侵入と窃取には人の手が残っています。 つまり対策の要諦は従来どおり「侵害前提」の設計(多要素認証・最小権限・ログ保全・速やかな検知)であり、 AI 時代になったからといって基本対策の優先順位が下がるわけではありません。

出典

  • 事案データ・手法分類: 当サイト収集事案(公表資料に基づく自動分類)。漏洩ウォッチ
  • 警察庁 サイバー脅威動向・注意喚起(2026年10月): www.npa.go.jp ほか報道(共同通信)
  • 個人情報保護委員会「大規模な漏えい等事案を踏まえた対応について(注意喚起)」(2026年10月7日): www.ppc.go.jp
  • Verizon 2026 Data Breach Investigations Report: verizon.com(PDF)
  • CrowdStrike 2026 Global Threat Report: crowdstrike.com
  • ARTEX 関連(2026年10月): 時事通信「中国系AI悪用か 国内企業に攻撃―GMO子会社調査」( 時事ドットコム)、読売新聞「サイバー攻撃受け情報漏えい、中国語のAIエージェント悪用か」( 読売新聞)、日本経済新聞「不正アクセス、中国系AI『ARTEX』で日本標的に」( 日経)、インプレス( Watch)
  • DeepSeek の悪用: Palo Alto Networks Unit 42「Autonomous AI Cyber Attack Campaign」(2026年7月)( Unit 42)、CSIS「Delving into the Dangers of DeepSeek」(2025年2月)( CSIS)

攻撃手法別の対策は対策ガイドへ →

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