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ATTACK METHOD

認証情報の不正利用 ― 流出パスワードの再利用攻撃

リスト型攻撃・パスワードスプレー・MFA疲れ攻撃・インフォスティーラーなど、IDとパスワードを奪って正規ログインする攻撃の実態と、パスワードマネージャ・FIDO2への移行。

当サイト収集事案: 28事案影響規模の合計: 約292万人分全手法の一覧: 攻撃手法の分類と動向

過去の漏洩事件で流出した「IDとパスワードの組」は、地下市場で取引され続け、別のサービスへのログイン試行(リスト型攻撃)に何年も使われます。警察庁の観測では2026年上半期、不審なアクセスは1日あたり約13,700件と前年同期比 約5割増。これは脆弱性の事前確認を含む攻撃準備活動の活発化を示しており、認証情報攻撃と脆弱性攻撃の両方が連動しています。

「パスワードの使い回し」がこの攻撃を成立させています。利用者からすれば1サービスの漏洩が、生活する全サービスの口座開けに直結する構造です。2026年秋の国内事案でも、会員パスワード(ハッシュ化含む)の流出が公表されたケースが複数あり、再利用被害への注意喚起が公表内容に含まれています。

多要素認証(MFA)は有効ですが、MFA 疲れ攻撃(押し付けがましい承認要求を繰り返す)や AiTM 型フィッシングで突破されうるため、「MFA さえあればよい」ではなく、フィッシング耐性のある認証方式への移行が世界的な推奨です。

数字で見る動向

約13,700件/日

警察庁が観測する不審アクセス(2026年上半期・前年比+50%)

2026年比 +89%

AI を使う攻撃者の増加、自動化された認証試行を含む(CrowdStrike GTR)

具体的な技法の解説

リスト型攻撃(流出パスワード流用)

他サービスで漏洩した ID・パスワードの一覧を使い、別サービスへ片っ端からログインを試す手口です。使い回しがなければ成立しないため、個人にとっては「全パスワードを一意にする」ことが直接の防御になります。公開されている漏洩データ(当サイトの事案データを含む)から攻撃者は容易に辞書を作れます。

辞書攻撃・パスワードスプレー

辞書攻撃は1アカウントに対し多数の候補を試す手法、スプレーは「Password123」「Company2026!」のような普遍的な候補を多数アカウントに一度ずつ試す手法です。スプレーは アカウントロック閾値を回避しやすく、静かに有効アカウントを探せます。

MFA疲れ攻撃

多要素認証の承認要求(MFA プッシュ通知)を深夜などに繰り返し送りつけ、うんざりした利用者が誤って承認するのを待つ手口です。番号照合(表示された番号を入力させる)方式や FIDO2 では成立しにくくなります。

情報窃取型マルウェア(インフォスティーラー)

感染端末のブラウザに保存されたパスワード・Cookie・セッショントークンをかすめ取るマルウェア群です。盗んだ情報はまとめて地下市場で売買され、リスト型攻撃やセッション窃取の燃料になります。証憑として悪用される API キー・開発トークンも同じ経路で流出します。

認証トークンの窃取・流用

パスワードを奪わなくても、セッショントークンや API キーがあればそのまま本人/システムとして振る舞えます。開発現場ではコードリポジトリや CI ログに残ったトークンの漏洩が後を絶たず、サプライチェーン被害とも直結します。

攻撃の流れ(キルチェーン)

  1. 過去の漏洩事件で入手したID・パスワードの一覧を流用
  2. 他サービスと同じ組み合わせのアカウントにログインを試行
  3. 成否を確認しつつ有効なアカウントを乗っ取る

狙われる情報: 会員アカウント、ポイント・決済情報

動向と論点

認証情報攻撃は「過去の漏洩」を燃料にするため、被害は一度きりで終わりません。2026年秋の国内ラッシュで流出した大量のメールアドレスとパスワード(ハッシュ含む)は、今後数年にわたりリスト型攻撃の材料になるとみられます。漏洩した側の企業には、パスワードリセットとセッショントークンの失効という対応が求められます。

個人にとって最も効く対策は、パスワードマネージャの導入と、重要サービスでの FIDO2/パスキー利用です。組織には、漏洩した認証情報の継続監視(ダークウェブ監視・認証情報流出チェック)と条件付きアクセス(いつもと違う環境からのログインを疑う)の運用が効きます。

対策

個人・中小事業者向け

  • パスワードマネージャで全サービスのパスワードを一意にする(使い回しをやめる)
  • 重要サービス(金融・マイナンバー・主要 SNS)は FIDO2・パスキーを優先して設定する
  • 「自分のメールアドレスが漏れていないか」を定期的に確認する習慣を持つ
  • 心当たりのない多要素認証の承認要求が届いたら、承認せずパスワード変更と報告を行う

組織(情報システム部門)向け

  • ID 管理の一元化(IdP)と条件付きアクセス(端末・場所・リスクに応じた制御)を導入する
  • 認証情報の流出監視(ダークウェブ監視)と、検出時の強制リセット手順を整備する
  • API キー・トークンの発行を必ず期限付き・スコープ限定にし、定期的にローテーションする
  • アカウントロック・異常ログイン検知の閾値を設け、スプレー攻撃を検知できる状態にする

保護レベル別の具体的な手順は対策ガイドで解説しています →

当サイト収集の認証情報の不正利用事案(28件・影響規模順)

企業・組織公表日対象規模重大度
日本経済新聞社(日経)2026年10月15日1,830,000件A
チャーム本店2026年8月31日370,000件S
CAMPFIRE2026年6月1日225,846アカウントA
ウエーブ(Webアップロード)2026年3月31日176,810件A
シチズン時計(問い合わせ管理)2026年10月5日100,000人A
イノベーション(GitHub)2026年8月6日62,689人B
損保ジャパン(SMILING ROAD)2026年10月6日60,000件A
扶桑電通2026年9月9日26,489件S
ゼットン(forty three旧メール)2026年3月26日18,553件S
キャリアデザインセンター(女の転職type)2026年5月29日18,253人S
楽天ドライブ2026年10月5日15,382アカウントSS
株式会社ビジュアルアーツ2026年6月3日6,017件S

他 16 件を含む全事案は漏洩ウォッチで →

関連する攻撃手法

出典・統計の詳細は 攻撃手法の分類と動向 の出典一覧をご参照ください(Verizon DBIR 2026、CrowdStrike GTR 2026、警察庁・共同通信、 Palo Alto Networks Unit 42 ほか)。事案個別の情報は各事案ページの出典リンクから公式発表をご確認ください。

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